シナリオのセリフ 九つの話法

セリフが生きないという時、たいてい文章が悪いのではありません。その人物がその場面で何をしようとして喋っているのかが決まっていないのです。この記事はセリフを文体ではなく話法で分けます。

セリフは情報伝達ではありません

初稿のセリフが平板になる最も多い原因は、すべてのセリフが情報を運んでいることです。人物が知るべきことを教え、観客が知るべきことを説明する。文章はなめらかなのに場面が死にます。

生きているセリフは情報を運ぶ代わりに何かをします。相手を押す、探る、隠す、時間を稼ぐ、身を守る。その行為が何かによって、同じ内容がまったく別の文になります。

ですから問うべきは「どう言わせるか」ではなく「この人物は今なにをしているのか」です。以下の九つはその「なに」の一覧です。

九つの話法

話法Englishこの話法がすることよく挙がる例
間隙型Subtext言葉と意味がずれる。観客がその隙間を読む
パワーゲーム型Power Play一行ごとに二人の力関係が動く데이비드 마멧 · 박찬욱 · 봉준호
言語曲芸型Verbal Virtuosityセリフ自体が見せ場になる。速度と知的な応酬아론 소킨 · 쿠엔틴 타란티노
沈黙型Silence Speaks言わないことがより多くを伝える해롤드 핀터 · 이창동 · 고레에다 히로카즈
日常写実型Naturalisticつっかえ、重なり、文が終わらない。不完全さがリアリズム리처드 링클레이터 · 윤가은
儀式型Ritualistic格式と反復。宣言と誓いの言語구로사와 아키라 · 장예모
大衆遊戯型Pop & Play軽い雑談が緊張を積み、また解く쿠엔틴 타란티노 · 최동훈
詩的型Poetic比喩と韻律が日常語に染みる왕가위 · 테렌스 맬릭
情報戦型Information Warfare誰が何を知っているかがすべてを動かす알프레드 히치콕 · 데이비드 핀처

一番上の間隙型が既定値です。言葉と意味がずれていて、観客がその隙間を読む状態——現代の劇映画の多くが立っている位置です。残る八つはその上に載せる性格のものと考えてください。

一作品に一つではありません

話法は作品単位ではなく人物と場面の単位です。同じ映画の中でも尋問の場面は情報戦型で、その人物が家に帰る場面は沈黙型かもしれません。

むしろ人物ごとに話法が違うことが、人物が違うという証拠になります。二人が同じリズムで同じ密度の文を喋るなら、名前を外したとき誰が誰か分かりません。

選びにくい時はこう問うてください。この場面で二人のうちどちらが何かを欲しがっていますか。欲しがる側が押すならパワーゲーム型、隠すなら情報戦型、言えないなら沈黙型です。

よく崩れる場所

三つが繰り返されます。第一に全員が作家のように喋ること。気の利いたセリフが上手い書き手ほどよく陥ります。第二に感情をセリフで宣言すること。「私は怒っている」は怒っている人の言い方ではありません。第三に沈黙を使えないこと。セリフのない箇所に耐えられず埋めると緊張が抜けます。

Movie Kickでは

シーンエディタで場面ごとにセリフパターンを選べます。何も選ばなければ間隙型で書きます。人物ごとの演技指示を併せて書けば、同じ話法の中でも人物ごとに違う話し方になります。

場面の並べ方については次の場面が気になる十九の方法を、人物がどこからどこへ渡るかはバウンダリーで緊張を読むをご覧ください。

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