この言葉ほど現場で意味が揺れるものも少ないでしょう。ある場では長い筋書きを指し、別の場では場面ごとの要約を指します。このノートでは言葉を裁定する代わりに、この層が実際に何をしているのかから見ていきます。
長編一本は数十のビートでできています。それを一つずつ読んでいくと物語が見えなくなります。木ばかりが見えて森が見えない場所です。
そこでビートをいくつかずつ束ね、ひと塊として読みます。おおよそ二つで一つの塊になります。この塊一つが一つの問いに答えます。その塊を並べて読む層がトリートメントです。
大切なのは、この層が別につくられるのではないという点です。書き手が手を入れるのはビートで、塊はそこから導かれます。塊の切れ目は必ずビートの切れ目と重なります。塊の収まりをよくするためにビートを割ることはしません。原本はつねにプロットです。
下から上へ読みます。書き手が触るのは一番下のビートだけで、シークエンスはそこから導かれます。塊が分かれる場所は常にビートが分かれる場所と同じです。
| 層 | 答える問い | 読む単位 |
|---|---|---|
| あらすじ | この物語は何についてのものか | 作品全体 |
| プロット | どこで向きが変わるか | ビート一つ |
| トリートメント | この一続きが何を問い、何を払うか | ビートの束 |
| シーンリスト・脚本 | その場で誰が何をするか | 場面一つ |
よくある混同は、トリートメントを「短い脚本」と見ることです。そうすると場面の要約が連なるだけで塊ができません。トリートメントが脚本と違うのは長さではなく単位です。場面ではなく束を見ます。
塊が役目を果たすには、三つが必要です。
蓄積で進む物語では二つめが変わります。時間変奏のように大きな出来事なしに積み重なりで進む構造では、何を失ったかではなく何が積もったかを問います。同じ枠に別の物差しを当てるわけです。
三つのうち最も崩れやすいのは一つめです。問いの席に出来事の要約が座り込むからです。「彼は会社を辞める」は要約であって問いではありません。要約が入り込むと、その塊は向きを失います。
Movie Kick でこの層は、プロット段階のトリートメントタブにあります。ビートを立てると塊が自動的に導かれ、それぞれの問いと失うものが一緒に提案されます。ビートを直せば塊も追随します — 二つの層が別々の物語を持たないようにするためです。
ここで書いた散文は、のちにシーンリストをつくるときその一続きの土台として引き継がれます。トリートメントを飛ばして場面から書くと、一つ一つはよくできているのに束ねて読むとどこへ向かうのか分からない原稿になりがちです。